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日々の退化に疲れを感じる。ただ、老いていく身体。人生の山をくだるのはもっとゆっくりでいい。今はただ、枕の白さがうるさいだけだ。
立ち止まれば君が見える気がした。だから、駆け抜けてきた。
「見たくない」というよりも、見てしまえばもう戻れないと本能が告げていたんだ。
駆け足で山を登った勢いそのまま駆けおりる。むしろ、転がり落ちると言った方が正しいのかもしれない。
ああ、寄る年波には勝てない。
あれもこれも出来ない。
いや、訂正しよう。
出来なくなった、だ。
老いる身体に鞭を打つ気力はとうに尽きた。
君は、あの雲の向こうに生きているのかい?
なあ。
生きているのかい?
明日晴れたら、君に会いに行こう。
とびきりの花束を抱えて。
君のいない世界には苦しみが蔓延しているから。
そんな世界に、手を振ろう。
スキップして、歌いながら、おさらばしよう。
明日は明日と思っても、君が居ない今日があることが僕には辛すぎたんだって。
こんなに弱い人間を君は笑って許してくれるかい?
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