優とあけみ

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ワゴンは園内に入り、エンジンを止めた。ワゴンが着いたのと同時に建物の中からぞろぞろと子供たちが出てくる。 あけみはワゴンから降りると、自分をまるで異国の世界から来た人間のように見る子供たちの目にとまどいを隠せなかった。 「あけみ、ひさしぶり。大きくなったわねぇ」 子供たちの奥から現れた一人の婦人があけみに話しかけた。 「おばあちゃん」 あけみは彼女の言葉に無表情でつぶやいた。 彼女の名前は渡辺美恵子。あけみの祖母であり、「太陽の子」の園長でもあった。 美恵子は急にあけみの手をとり、子供たちの前に連れて行った。 「みんな、紹介するわね。今度からここでみんなと一緒に生活する、佐藤明美ちゃんです。えぇー、みんな驚くと思いますが、実はあけみちゃんは先生の孫でもあります。」 突然の紹介に子供たちは騒ぎはじめた。「似てねー」などと大声で叫ぶ子もいる。 「似てなくはないでしょう。ほらこの大きな目、先生の若いころにそっくり」 美恵子の冗談に子供たちは大きな声で笑った。 「ほら、あけみも何か一言言いなさいよ」 美恵子の言葉に少しとまどいながらも、あけみは 「佐藤明美です。よろしく・・・」 と小さな声でつぶやいた。 「それだけ!?」 美恵子が体を斜めにさせ、オーバーアクションをとる。 とても70代後半の老人だとは思えない。あけみは美恵子を見ながらそう思っていた。
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