護り人

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 大戦後、大陸の暮らしは北の王国(ノール・フース)によって管理される事となった。  人々に自然の恵を与え続ける《星のカケラ》という、不思議な飛来石の影響で、大陸は常に豊かな自然に包まれていた。  日々の暮らしを築くための糧や、家屋を建設するための鉱石や木材など。必要なものは全て、自然が与えてくれている世界。  人々は《星のカケラ》を、天に召された者たちからの贈りものと信じている。  王国周辺にある3国もこの恩恵を受け、ノールの管理の下、充分に暮らしていけるだけの生活を約束されていたのだが。  南の荒野地帯に位置する《サウ・クスーダ》の一部の地域では、未だに独自の生活が築かれていて、ノールの支援を頑なに拒否し続けている。  統一の際、東西南北に位置する4国を繋ぐという意味で作られた、大陸に十字を描く(オーバ・チュア)。この補給線を利用した援助も、受け入れない。  理由のひとつとしては、サウの民たちが、崇める神への感謝の気持ちを忘れない様にするためだった。  森の深部に、その神を祀った寺院があり、一部のサウの民は足繁く通い続けている。
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