黒猫と日溜まりと始まりの夜

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今日の夕飯何にしよう。 パパッとチャーハンにしようか。 ビーフシチューもいいかも。 鮭のムニエルはどうだろう。 その前にお風呂に入って温まろう。 風に当たって冷えた気がする。 ───なんて。 こんなこと考えてる場合じゃない。 自分はパニックに陥ると思考を違うところに持っていく癖がある様だ。 今の状況の打開策を考えなければ。 ───そう、私はパニックに陥っていたのだ。 そうでなければ、とりあえずコンビニに寄ることも。 駅前に待機しているタクシーに乗ることも。 はたまた目の前にある交番に駆け込むことも、思い付いた。 そう、たまたま目に入ったのだ。 光が。 あの光が、私を救ってくれるのではと思ったのだ。 (確かあっちの通りは夜、人がよく溜まっていた様な…。 とりあえずそこの通りまで逃げよう。) そうでなければ。 少なくともその通りに近付くことはなかっただろう。 しかして私は、明るいネオンに誘われるかの様に歩き出した。 .
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