プロローグ ~誰かの悪夢~

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俺は壊していた。 どういうわけかわからないが周りがよく見えない。 ……が、自分が何かを壊していることと、それがとても気持ちいいことだけは分かっていた。 いつまで壊していたのだろう? 不意に聞き覚えのある声がした。 突然、周りがはっきりしてきた。 見覚えのない広い空間。 目の前で血だらけ、怪我だらけになって倒れている両親。 慌てて手を伸ばすと、その手は赤かった。 なにがなんだかわからなかった。 伸ばした手の先から、赤い雫が地面に落ちる。 ポタッ、ポタッ、と。 まだわからなかった。 いや、わかりたくなかった。 その時、どこからか声が響いた。 『なにをしている?とっとと殺せ。今までの65人のように、その手で』 と。 俺が、殺した? 65人? 殺した? ころした? コロシタ? コロシタ。 コロシタ。 コロシタ。 コロシタ。 コロシタ。 「うああああああああああああああああ!!!!」 ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~ 目の前には逆さまになったタンスが見えていた。 またうなされてベッドから落ちたようだ。 起き上がり、時計を見る。 6時半。 まだ少し早いが、なんとなく区切りがいいから朝食にしよう。 あの悪夢を忘れて、’普通‘に過ごすためにも。
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