第一章「遣らず雨」

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第一章「遣らず雨」

都内のオフィスビル街から程近い場所に、小さな神社がありました。 そこは都会の真ん中にありながら、喧騒を忘れるほどに厳格な場所でしたが、あまりに古くひっそりとしていたために、毎日前の通りを通勤している人でさえ、“はてこんな所に神社があったものか”と顧みるほどだったのです。  長らく神主は不在で、あとは廃れるのみと思われていましたが、ある日年若い青年が一人、ふらりとやってきたというのです。  しかしそんな青年を誰も見たことはなく、相変わらず世話しない街の一角で、人知れず神木が枝を揺らしていたのでした。
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