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もー雨の季節ですね
私にはこの季節になると思い出す女がいます
その女は冷といーます
出会いは三年前の雨の季節です
私がウィークリーマンションに入居した時のことでした
ドアを開けるとそこには冷の姿が―
そーです、冷とは冷蔵庫のことです
初めは人見知りだったのか冷は私に心を開いてくれませんでした
心を開かないイコール、ドアが開かないってことなんで買い物してきても冷やすことさえ許されません
コーラはいつもぬるいまま
しかし入居して一ヵ月くらいした頃、私が風邪で寝込んでしまったのです
すると見兼ねた冷が冷凍室から冷えピタを出し貼ってくれたのです
それ以来とゆーもの、冷と私は楽しく生活するよーになったのです
そんなある日、私にも彼女ができ家に連れて来た時のことでした
彼女が私に料理をしてくれるとのことで彼女が冷を開こうとしましたが冷はかたくなにドアを開かせませんでした
私は冷が人見知りだからかなと思っていたのですがどーやら違ったみたいです
その夜、私は電子レンジの蓮次さんにキッチンに呼び出されました
そしてこーゆわれたのです
「ちょっとひどすぎるよ、冷の前に彼女を連れてくるなんて、冷の気持ちも考えてやれよ」
私はその一言で気付きました
冷は私を愛していたのです
いつも仕事から帰り冷たいビールを飲めるのは誰のおかげ?
朝食べるプリンを腐らずにおいしく保ってくれているのは誰のおかげ?
私は冷を抱き締めました
冷はいーました
「こんな冷たい私でいーの?」
私は何もゆわずにおもむろに冷の心のブラを外しました
その夜のセックスは言葉に表せられるほどの安っぽいものではありませんでした
しかし夜が明け、私が目覚めると隣にいるハズの冷の姿はありませんでした
あるのは冷を抱いた感覚と悲壮感だけでした
蓮次さんはいーました
「所詮俺たちは家電であって人間を愛しちゃいけないんだ」
その言葉が私の心に重く響き渡りました
冷――今、君はどこで誰のために何を冷やしているんだい?
君のことやあの夜、愛し合って一つになったことは永遠に忘れないよ
ありがとう 冷――
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