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先日、弟の野球の試合を見に行った 弟とは10歳くらい離れている 弟は昔から貧弱で、もやしとあだ名をつけられよくみんなにいじめられていた よく私が助けてあげたけど弟はいつも一人部屋で泣いていた 時には「死にたいよ」なんて弱音を吐いて私に怒られていた   そんな貧弱だった弟も中学に入ると野球部に入った 中学から野球を始めたとあって弟はなかなかレギュラーになれず試合にも出れなかった しかし私は弟が目標をみつけ部活を頑張っている様子をみていると大変嬉しかった 野球をまったく知らない私によく楽しそーに野球について語ってくれた   そして弟が高校に入学すると私は弟にグローブを買ってあげた   「兄ちゃん大事に使うね‼プロになってもこのグローブ使うよ‼」   なんて言っていた弟の笑顔が今でも忘れられない しかしあまり運動神経のよくなかった弟は高校でもレギュラーになれず試合にも出れなかった それでも弟は諦めずに人一倍練習をしていた 3年になる頃には私が買ったグローブもボロボロになっていた 新しいグローブを買ってあげよーとしても弟は   「このグローブがいーんだ」   なんて言ってボロボロのグローブで練習していた   そんな弟も引退間近でやっと試合に出れることになった 弟はとても喜んでいた 私も今まで弟の試合を見に行ったことがなかったので見に行くことにした しかしその試合、弟はバットに当てることもなく三振ばかりだった 九回裏、弟に打席が廻ってきた 1対0で負けていたが一塁にランナーがいたので逆転の可能性もあった 一球、二球と空振り 私は祈った すると弟は三球目をバットに当てた 弟は一生懸命走った   しかし結果はアウトだった 悔しがる弟を見て私は涙が溢れた 試合後弟は言った   「ごめん、せっかく見にきてくれたのに…」   私はまた涙が溢れそーになるのをこらえ弟の肩を叩き   「先帰ってるぞ」   と言い家に帰った 私は帰り道、立派に成長した弟を誇りに思い嬉しくてたまらなかった   家に着きさっそく母親に弟が試合で頑張ったことを話した すると母親はこーいった   「あんたに弟なんかいないよ、何言ってるんだい⁉あーまたセラピー通わないとダメね」   イッツミー妄想
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