1.出逢いは旅の醍醐味ってね

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「とりあえずそこに座れ」 座るように促せば案外素直に従った さっきまで胡座をかきながらメシを食べていたが、今は背筋をしゃんとして座っている その姿はどこか気品があるかのように思われた 「お前、名は? どこの藩のもんだ ここいらじゃ見かけねぇ面(ツラ)だな」 凄みをきかせながら尋ねる 大抵の奴は脅え、身を震わせるが 目を逸らさず真っ直ぐ答えた 「名は宵風(ヨイテ) ただの旅人さ」 「木刀なんか持ってか」 ただの旅人ではないことは雰囲気で解る 疑わしい目を向けながら続ける 「町で浪士と一悶着あったそうだな」 「あの人が町人にいちゃもんを付け刀を抜こうとしたんですよ。 まぁ鞘から六割刀身が出たところで飛び蹴りを喰らわしましたが」 いきなりの展開に目を張った少年以外の一同 刀を持った浪士相手に飛び蹴りなど自殺行為に等しい (※そもそもそんなことをする人自体がいないが) それをさらりと言った少年はいよいよただ者ではなくなった
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