1.出逢いは旅の醍醐味ってね

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(怪しいことこの上ないな 長州の間者か? だが、証拠がねぇ しかも真剣ではなく木刀だ… わざわざ間者が木刀を腰にさげるか? 怪しいです、と自ら言ってるようなもんだ いやだが…) 土方が思案していると突然襖が開いた スパーンッとなんともいい音が響きながら 「土方さーん… と お客さんがいたんですか」 突然の登場にも動じず、爽やかに挨拶をする 「はじめまして 宵風といいます」 「私は沖田総司といいます はじめまして宵風さん」 長い髪を高い位置で結い、色素の薄い茶色がふわりと揺れる 愛想が良く、顔立ちが整っている青年であった だが沖田の名を聞いた時、宵風は一瞬表情を曇らせた ほんの僅かな変化に気づいた者はいなかった
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