215人が本棚に入れています
本棚に追加
雲一つない空だった。
空気は澄みきっており、いくつもの星が満天に散りばめられ、黒を鮮やかに引き立てていた。
歩く道には自分以外誰一人とおらず、下駄の音が静かに響きわたる。
「いい俳句が思い浮かばねぇな…」
はぁ とため息をつく。
ふと視線を小脇の草むらにやると、黒猫が顔を覗かし、そのまま男の前を横切ると、葉が生い茂る大木に登り姿を消した。
―ザァァッ
宵の風が辺りを包み込む。
最初のコメントを投稿しよう!