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「はは、何言って・・」
「そんなに一人がすきなんですか。Mなんですか。・・・私には無理でも、ロイドさんにはちゃんと話してあげて下さいね」
頭を下げて足早に去ろうとする彼女の腕を掴む。
細い腕。白くて、折れてしまいそうな。
「いつか、話すよ。きっと、たぶん。だから、いくなよ。ここにいて」
明るい空色の髪も、驚いたように揺れる瞳も。
ぜんぶ、全部、優しさを抱いていることを、俺は知っている。
「しょうがないから、そばにいてあげます。そんな、泣きそうな顔、しないでください」
昔も今も何一つ、俺は変わっていない。
手を紅に染めて、頬についた血を拭って、それでも走ってここまできた。
いくら手を洗ってもそいつはもうとれることはなくて。
恐れていたのかもしれない。
・・・戦場では俺は何かを探しながら生きていた。今も、何かを探している。ずっと、ずっと心の底から、何かわからないそれを求めて生きている。変わらないその日々に、いつしかそっと寄り添う影が、一つ。
それは空色の髪をもち、感情のよくでるキレーな瞳の。優しい小さな女の子だったらいい、そう、想ってる。
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