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ひとつ相談させてくれ。
下校中、目の前に突然火の玉が現れたとする。
あんたならどうする?
「うーむ」
目をゴシゴシしてもう一度確認する?
それはもうやった。
あー、俺疲れてんだなぁ。と幻覚の線でいく?
それももうやった。
「どうしよう」
どうやらこの火の玉は間違いなく目の前に存在するようだ。
しかも何か目が合ってる。
いや火の玉だから目とかないけど絶対合ってる。
こっちガン見してる。
「よし、逃げよう」
俺が選んだ答えは逃走。
そう決めるやいなや全力で走り出す俺。
200メートル程走っただろうか。
火の玉が着いてきてない事を確認し、路地裏に身を隠す。
「はぁっ!はぁっ!何だったんだ?アレ」
路地裏の壁にもたれ掛かり、地べたに腰を下ろす。
「はぁ…しかし久しぶりに走ったな。あっちぃわ」
とめどなく流れる汗を拭い、パタパタと手で仰ぐ。
「しかしすっげぇ汗だな。全然止まらねぇよ」
「あっ!ごっめーん!暑かった?もうちょい火力落とすわ!」
「おう。頼むわ」
「………」
「………」
着いてきちゃったよね!
「メンゴメンゴ!いまいち調整が効かなくてさ~」
「ななな何なんだよお前!火の玉が…喋った!」
火の玉だけでもホラーなのにそれが喋り出すなんてもうアレだ!上手く言えないけどアレなんだ!
「えっ!火の玉って喋らないのっ!?」
「………」
意味が分かりません。
「普通喋らないだろ!喋る火の玉なんて聞いたことねぇよ!」
「そっかそっか。人間界って…そっかぁ」
1人でブツブツと言い出す火の玉。
この場合1人という数え方が適なのかはかなり疑問だが。
「1玉」の方がいいのか。
「アタシは磯野家の飼い猫か!」
うん。それ「1タマ」ね。
ミカンの中で元気に腰を振る1タマを脳内再生していると、火の玉がよく分からない事を言ってきた。
「これなら話やすいでしょ?」
白ネコから意識を切り離し、眼前の火の玉に目をやる。
すると今まで火の玉がいた場所に1人の少女が立っていた。
「…誰?」
「え?アタシさっきの火の玉だけど?」
やばいどうしようついてけない。
主人公なのに話についてけない。
「アタシはサラマンダー!火の精霊よ!立花秋クン。アタシがあなたの冷えきった心を暖めてあげるわっ!」
……え?
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