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「おっはよう少年少女よ!今日も今日とて青春してるかなー!」
ノックもなしに勢いよくドアを開けて入ってきたのは、派手な格好をした美人――ぼくの母さんだった。
「絢耶さんっ待ってよぉ!」
そのすぐ後ろから息を切らして駆け込んできたのは、かほのお母さん。
この人は、ぱっと見はどこにでもいそうな地味な人だけど、顔を覆う長い前髪を上げて笑えば実は結構可愛い感じの人だ。
…かほのお母さんだけあって。
「ママぁ!!」
かほはお母さん――由美子さんの姿を見た途端、満面の笑みを浮かべて飛び付いた。
「夏蛍!おはよう、いい子にしてた?光月くんのこと困らせてない?」
かほを抱き留めた由美子さんの目はひたすらに優しい。
母さんも、嬉しそうにかほの髪をかき混ぜる。
「母さんも由美子さんもおはようございます。2人とも、ここ病院だよ?静かにしないとまた看護師さんたちに怒られるんだからね?」
ぼくも笑ってベッドに座ったまま言うと、2人は苦笑いして言った。
「あー、ここの婦長こわいからねー。あんなのに捕まったら耳が1日使い物にならなくなるわ」
「こーら、絢耶さん。ここで婦長さん来ちゃったらどうするつもり?…確かに捕まりたくはないけど」
「別にいいと思うんだけどなー。真っ昼間の小児病棟なんて、私たちが騒ぐまでもなくうるさいんだから」
「母さん。そんなこと言っても世の中の規則なんだから仕方ないでしょう?病院ではお静かにっ」
そういうと、母さんは一体だれに似たんだか、と笑った。
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