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二人とも、病院にいるのがあたりまえだった。
小学校にもめったに行かないけれど、小児病棟には友達がたくさんいたし、なにより、お互いがいればさびしくなんてない。
どんなに病気が苦しくても、二人でいれば、つらくない。
――――
「おはよう光月(コウキ)くん。今日の気分はどうー?」
ぼくは朝、看護師さんが点滴を替えに来ることで目がさめる。
看護師の人たちは起こさないようにそっとやってくれるけど、毎朝おなじ時間にドアをあけるから、その音で起きるのがくせになったみたいだ。
ぼくはにっこり笑っていった。
朝は好きだから機嫌がいい。
「おはよう皐月さん。今日は悪くないよ。身体が軽いから、きっと熱はないね」
「あらそう!よかった!でも、はい。熱はちゃんと測らなきゃ」
「うん、わかった」
ぼくは差し出された体温計を素直にわきに挟んだ。
しばらくしてピピッと音がなると、ひきだしから紙を取り出して37.7と書き込む。
体温は朝昼晩の3回、毎日計ることになってる。
皐月さんは体温を書いた紙を昨日のお昼の分からチェックすると、パンダのはんこを押してくれた。
「よーしちゃんとやってるね。えらいえらい!」
そう言って髪をなでてくれたとき、ドアの外からパタパタと足音が聞こえてきた。
…きた!
「お、そろそろお姫さまの登場かな?」
皐月さんが笑うと同時に、ぼくの病室のドアがカラリと開いて女の子がぴょこと顔を出す。
「こーちゃんおはよう!起きてるー?」
「おはようかほ。起きてるよ。おいで」
ぼくが少し微笑って招くと、かほは嬉しそうに駆け寄ってきた。
「おはよう夏蛍ちゃん。夏蛍ちゃんは今日もげんきねー」
「おはようございますっ!うん、かほげんきだよー!」
かほと挨拶をした皐月さんはぼくのチェックが終わったみたいで、あんまりはしゃがないのよとぼくらに言ってでていった。
「こーちゃん、今日お熱は?」
「ないよ」
「よかったぁ!じゃあ今日はいっぱいお話できるね!」
「うん、聞かせて。かほの話」
そう言って手をとりあって微笑う、これがぼくの毎朝。
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