光月と夏蛍。

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かほは僕より3つ年下で、この間6歳になったばかりだ。 学校には入学式以来行ってない。 きっと自分の学校の校舎の形さえまともに覚えてないだろう。 僕もそうだった。 というよりも、今だに分かってない。 僕の病気はかほよりも重いから、本当言うと、小3になった今でも学校に行った記憶は2度だけ。 職員室と校長室以外は、教室にすら行ったことがないんだから分からないのも当然なんだけど。 学校に、行ってみたくないと言ったら、それは嘘だ。 学校に行って、みんなと騒いで、昼休みには校庭でサッカーしたり、ドッジボールしたりしてみたい。 でも寂しいとか、自分が可哀想だとか、そんなことを感じたことはなかった。 きっとかほもそうだと思う。 ここには僕らみたいな子がいくらでもいて、みんなが友達で、仲間で、家族みたいなもんだから。 かほはみんなの中でもとびきり明るくて、誰にでも好かれてる。 そんなかほがなぜか僕に一番懐いているから、僕のまわりはいつだって騒がしくて、寂しがってる暇なんてないんだ。
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