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それからしばらく、かほと2人で他愛もない話をして過ごす。
10時をすぎないと談話室は解放されないし、病院内を散歩しても友達はまだ寝ていたり勉強している時間だ。
それに10時には母さんとかほのママが来る。
それまではすることもないし、とりあえずいつもおしゃべりしてまってる。
だから、このベッドの上の数時間は、僕ら2人だけの時間。
「それでね、そのお話の続きが気になるからママに『どうなったの?』って聞いたの。それなのにママね、わすれちゃったって言うんだよー!もうかほ、気になって寝れなかったの!」
かほがほっぺたを膨らませて言った。
昨夜の「寝る前のおはなし」の続きをママが忘れてしまったことにご立腹みたいだ。
僕はかわいく膨らんだほっぺたをつついて萎ませた。
寝れなかったわりには肌質が悪くないな。
「そっか。
ねぇかほ、昨日はどんな夢を見た?
昨日の王子さまは、かほに優しくしてくれた?」
少し笑いながら聞くと、かほは目をキラキラさせて答えてくれた。
「うんっ!昨日はね、2人でお花つみに行ったんだよ!」
「うん、昨夜もちゃんと寝たんだね」
「??」
……分かってないみたいだ。
夢を見たってことはちゃんと眠れたってこと。
少なくとも全く寝てないってわけじゃない。
かほは、からかわれたことにも気付かずにきょとんと僕をみあげている。
…かわいいなぁ。
うさぎとかフェレットとか飼ったら、こんな感じなのかな。
僕は笑いながらかほを抱きしめた。
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