特命!

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「過去のほうはどうだった」 「これから相手に接触しようというところで、統括長からメールが来たので指示通り早急に戻った次第です」 「そうか。それは悪かったな」 「特命って私なんかが受けても大丈夫なんですか」 渚はなぜ自分に特命が下ったのか、不思議に思った。特命は重要な任務であり、捜査員の中でも下っ端の自分に与えられるとは思ってもみなかった。 これまでにも特命は何度かあった。しかしそのどれもが渚よりもベテランの捜査員に任命され、渚は自分にはまだ縁のないものだろうと思っていた。 「瀬戸さんからのご指名だ。この任務は天野渚に任せてほしいと」 「瀬戸先生から。本当に私でいいんですか」 「ああ。間もなく瀬戸さんも来ると思うけど――」 杉野が喋っている途中に、コンコンと扉がノックされた。どうぞ、と杉野が応じる。 入ってきたのは瀬戸賢介だった。大学の教授をやっていて、未来警察とも深い関わりがある。 白髪の目立った髪はぼさぼさで、汚れた白衣のポケットに両手を突っ込んでのっそりと杉野に歩み寄る。
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