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つまりだ。さっきの疑問に答えると、会社でも学校でも『瞬間移動』やら『飛行』なんかを使えば、電車なんて必要ないわけだ。
自分が使えなくても、知り合いに頼めば電車より早く目的地に着ける。
超能力で人を運ぶ商売も出てきてるらしいから、なおさらだ。
ま、だから俺は爺さんの言ってた通勤通学ラッシュってヤツを知らねえ。な、分かったろ。
「よう、鉄ちゃん。降りる駅に着いたら放送で起こしてやるぜ」
突然声を掛けてきたのは車掌だ。別に同窓生でも何でもなく、ただの車掌と客の関係でしかない。
とはいえ、客が2、3人しかいないんじゃ車掌と親しくもなろうってもんだな。
「ああ、頼むよ。けど電車放っといていいのかよ」
当然ながら、この電車はワンマンの1両編成だ。
「気にすんな。今時地面走ってんのは電車ぐらいだよ」
そう言って笑いながら車掌は歩いていった。
それじゃあお言葉に甘えさせていただこう。
俺は適度な揺れの中、眠りに就いた……。
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