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「なあ、どんな能力もった奴が一番モテると思うよ?」
昼休みにそう聞いてきたのは、俺の数少ない友人のひとり、赤田だ。
「そりゃあ『読心』に決まってるだろ」
俺はそう言って赤田を見た。
『読心』はコイツの能力だ。もちろん俺と一緒のときは使えないがな。
「待てよ。そりゃあ皮肉かよ」
「まさか。お前は要領が悪いんだよ」
俺は苦笑した。赤田の奴、マジで怒ってるぜ。また、好きな女でも見つけたか。
「なら、俺でもモテるか?」
なんだ、分かりやすい奴だなあ。ホントにしゃあねえなあ。
「まあ最低でも気に入られるって、お前でもな」
「頼む。教えてくれ!」
ありゃりゃ、手まで合わせやがった。
今度からは金でも取ろうか。
「お前なあ。自分の能力の使い方くらい考えろよなあ。
まさか相手が自分のことどう思ってるかってことばかり読んでんじゃないか?
いいか、よく聞けよ。
相手が今、何をして欲しいか。どんな言葉を期待してるのか。そいつを読むんだ」
赤田は真剣に聞いている。講義もそのくらい真面目に受けりゃあ、留年することもなかったのによ。
「そうすればよ。お前は相手の子にとって、理想的な男になれるって寸法よ。
分かったか? まあ頑張れよ」
「そ、そうか。助かったよ。じゃあな。今度飯おごってやるよ」
そう言って、赤田は駆け出した。
「お、おい、お前午後授業埋まってんだろ」
「フけるっ!!」
ったくこれだよ。二留決定だぜ。
ん? あ、大事なこと言うの忘れてた。あいつ自分の能力バラさねえだろうな。
まさかそこまでバカじゃな…………だめだ。飯は諦めよう。
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