5人が本棚に入れています
本棚に追加
と、そのとき予鈴が鳴った。
おっといけねえ。俺は赤田とは違い真面目な学生だからな。
とはいえ、この日の俺は授業に集中できなかった。
『モテる能力』赤田の言ったことが頭の中から離れなかったのだ。
逆の『モテない能力』の筆頭は間違いなく俺の能力であるはずだからな。
誰が好き好んで便利な能力を失うものかよ。
そんなことを考えてるうちに授業は終わってしまっていた。
「えーー、では今日はココまで。今日のとこは重要だからな。しっかりやっとけよ」
な、何!!! 何で俺が聞いてないときに限って……、くっそー赤田のヤロー。
俺は理不尽な怒りを抱いたまま、講義室を出た。
けど、校舎を出る前に、俺は平常心を取り戻していた。
切り替えの早いのは俺の長所だ。
まったくしょうもないことで悩んでだもんだ。我ながら情けない。
まあ、ふっきったとはいえ、全く気にならないわけではない。
21歳の健康な男にとっては切実な問題には違いないのだ。
どっちにせよ、俺は赤田みたいに単純にはなれねえけどな。
最初のコメントを投稿しよう!