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「うざく晴れた、昼下がり」
白い少年の口から漏れる音は、狭い部屋に響く。
窓から見えるのは、一面青の世界。
他の色は存在しない。
どこまでも澄み渡った空を見つめる白い少年は、虚ろな眼にその色を映す。
「両手首に、雑多な拘束」
腕に、足に、首に、胴に。
金属製の鎖が絡み付いている。
まるで体の自由を奪うかのようなそれは、彼が言う通り拘束の為に巻き付いているのだろう。
白い少年に巻き付いている方と反対、鎖の先端は壁に打ち込まれている。
一人では外す事の出来ないように。
「愚鈍な大人、漂う腐臭」
少年の声色は常に一定。
鈴のように透き通った声に感情は込められていない。
「……冷たく滲む」
青い世界を、小鳥が一羽、優雅に羽ばたいていた。
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