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昼下がりの喧騒は、誰かが他人の弁当を食べた事で始まった。
笑って、怒鳴って、盛り上げて。
誰も彼も好き勝手に騒ぎ立てており、とても落ち着いて食事が出来る状態でもない。
……ただ一人を除いては。
「んー、結城先輩は?」
「さあ? また昼寝じゃないの?」
喧騒の暇を縫うように、少女は短く問い掛ける。
返ってくる言葉は当然、投げ遣り感が漂っていた。
「どこに行ったんだか。……はむ」
手の平サイズにちぎったカレーパンを頬張り、口元を緩めながら呟いた。
「……彼女が待ってるってのに」
若干頬に朱を混ぜて、
照れたように笑う少女。
一条優子は
西條結城の
恋人であるのだった。
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