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不意に口内に滑り込んできた生暖かい感覚が、朦朧としていた頭に氷を落とし、涼は反射的にのし掛かる直翔を突き飛ばした。
「はぁ、はぁっ」
「っ痛!…っはぁ、はぁ」
突き飛ばした親友は、反動で机に乗っかったままの筆記用具等を床にばらまきながら、壁に背を打ち座り込んだ。
俯いているためその表情は分からない。
暫く部屋には二人の呼吸を整える音だけが響いていた。
呼吸の音が落ち着くと、耳にはいるのは五月蝿い位の蝉の声と、クーラーの稼働音のみ。
どちらとも声を発する事の出来ないまま、無言の時間は過ぎていった。
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