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「おぉ、いらっしゃい!随分遅かったじゃねぇか、どうかしたか?」
長い付き合いになる直翔の自宅は、涼にとっては最早第二の自宅感覚だ。ドアを開けている直翔をすり抜けて涼は床に倒れこんだ。
「おっ、おい涼、大丈夫か?ってかスゲェ汗っ」
つくなり倒れこんだ涼を心配そうに覗き込む直翔。こいつはいつも過剰なほどの心配性だ。だからこそ虐めたくなるのだが…
「俺はもう駄目だ。目が霞む…」
「ちょっ、まさか熱射病!?ちょっと待ってろ、今冷たいの持ってくるからっ!!」
バタバタと台所へと向かう直翔を見送って、涼は息を吐いて目を閉じた。
歩き回る直翔の足音、落ち着く直翔宅の匂い。硝子を挟んだユルい太陽光。
ヤバ、まじでこのまま寝れそう。ウトウトとしてきた意識をハッキリとさせたのは、急に顔面に降ってきた冷たい感触だった。
「ぶっ!!」
「生きてるかっ!?氷水でガッツリ冷やしてきたから!ほら、これであせ吹いてっ!歩けるか?とりあえず部屋で横になろう!」
顔にかかるタオルをずらして見上げると、真面目な顔をした直翔がいた。
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