日常

4/11
13人が本棚に入れています
本棚に追加
/38ページ
「おぉ、いらっしゃい!随分遅かったじゃねぇか、どうかしたか?」 長い付き合いになる直翔の自宅は、涼にとっては最早第二の自宅感覚だ。ドアを開けている直翔をすり抜けて涼は床に倒れこんだ。 「おっ、おい涼、大丈夫か?ってかスゲェ汗っ」 つくなり倒れこんだ涼を心配そうに覗き込む直翔。こいつはいつも過剰なほどの心配性だ。だからこそ虐めたくなるのだが… 「俺はもう駄目だ。目が霞む…」 「ちょっ、まさか熱射病!?ちょっと待ってろ、今冷たいの持ってくるからっ!!」 バタバタと台所へと向かう直翔を見送って、涼は息を吐いて目を閉じた。 歩き回る直翔の足音、落ち着く直翔宅の匂い。硝子を挟んだユルい太陽光。 ヤバ、まじでこのまま寝れそう。ウトウトとしてきた意識をハッキリとさせたのは、急に顔面に降ってきた冷たい感触だった。 「ぶっ!!」 「生きてるかっ!?氷水でガッツリ冷やしてきたから!ほら、これであせ吹いてっ!歩けるか?とりあえず部屋で横になろう!」 顔にかかるタオルをずらして見上げると、真面目な顔をした直翔がいた。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!