日常

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部屋に着いて鞄を下ろすと、スイカをかけていた肩が少し痛んだ。 丸々一つ担いできたなら流石に肩も泣くだろう。 ってか… 「丸々一つとか、我が母ながら豪快だな」 まぁ、炎天下切り身で持ち歩いたら駄目になるし、クーラーBOXに入れてまで持ってくんのもめんどいしな。 そんなことを考えながら涼はクーラーの効いた部屋に寝転んだ。耳を床に当てると、まだ冷蔵庫と格闘している音が聞こえてくる。 そう言えば、直翔の部屋の真下は台所だったっけ。 「ったく、まだやってんのかよ。他のもん悪くなるぞ」 一人呟き寝返りをうった拍子に、再び肩に痛みが走った。 「っ痛!」 シャツから片腕をぬき肩を見ると、見事に赤くなっていた。なんかご丁寧に網目までついてるし。 痛みを和らげようと赤くなった肩を撫でていると、ふと部屋のドアから息を飲む音が聞こえた。 「どうした?」 音の先には突っ立っている直翔が自分を凝視していた。 「えっ?あっ、いやいや…」 ハッと目を見開いた直翔は、取り繕ったように笑って自分の勉強椅子に腰をかけた。
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