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「これはこれは、本日はお忙しいところを申し訳ありません」と、財務省事務次官の小島がまず声をかえた。続いて、国税庁長官の岩田健二が「本当にすみません。政務の方に支障はでませんか」とにこやかだ。 「いえいえ、支障はありませんよ。それよりも先輩方二人にこんな会を催して頂いて、恐縮しています。こちらはよく使われるのですか」  「いやいや、ぜんぜん使ったことがありません。それで、今日は使ってみようかと・・・」と小島が言う。大川はそれを聞いて、行くぶんか安心した。もともと二人は宴会嫌いときいている。その点は大川も同じで、なぜかK高校の気風のようなものを感じるのだった。
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