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店の人間は、本当に大日新聞の人間と大川が会っていると思うだろう。ごくたまに、新聞で二人の顔写真や記者会見を見るが、世の中には似た人間も多い。まあばれることもない。
政治家と官僚が料理屋で会うことはよくある。しかし、この日がなぜか気持ちが落ち着かなかった。会合が官僚から持ちかけられることはめったになかった。兼山の脱税に対する東京地検の略式起訴と関係があるのではないか、という疑いが心の隅にあったのだ。
「ところで、今日は、私のためだけに、この会を設営していただいたんですか」
と、大川は探りをいれた。
「もちろんです。他に何か」
と小島が応じた。
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