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 「いえいえ、特に他意はないのです。ただ、幹事長を降りてだいぶ日がたっている ので、なんなのかなあと思いまして」  「いやあ、私どもは次官、国税庁長官になってから日が浅いものですから、そのま あ、顔見せ興業みたいなものです」  「顔見せ興業?なるほど。次官は面白いことをおっしゃいますねえ。わははは」  小島、岩田も大きく笑う。  会合は、二時間の予定だった。三人は、高校時代のそれぞれ思い出を語りあかした。  「あの英語の先生は、昔からああいうふうに気取っている感じでしたか」  「そうでしたよ。なあ、岩田君」  「そうでしたね。でも、なかなか面白いところもありましたよ」  他愛もない会話が続く。
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