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「実は、最近、ある民間人の脱税事件のために税務調査の一環として、東京国税局が国際債券興業銀行のさる支店を調べたのですが、そこから奇妙なものが出てきたのです」 「ほう、なんですか」 「それが、兼山先生が保有している割引債『割国』の満期日が記載されてあるメモなのです。それらがすべて満期日が来たら五十億円弱、現在の価格にすると四十億円超になるのですよ」  大川は驚いて沈黙した。まさか、国税がここまで調べ上げているとは思わなかったのだ。
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