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小説  「黒い情熱ー秘して語らず」               百瀬一太郎 1          ニッポン・ホテルへの車の中で、大川和郎はずっと考えていた。財務省事務次官が面会を申し込んできた理由が、よく分からない。国税庁長官も同席するという。二人とも、都立高校の先輩ではある。面識もある。しかし、先方の二人がうちそろい、大川と三人だけで会うのは初めてだった。  「同じ高校のよしみを深めたいと思いまして」と、電話口で財務次官の小島衛は言った。
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