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大川は、その頃は、はっきりと兼山に対する嫌悪感を表に現わすようになっていた。
「あいつはいい加減なことをいいやがって。金ずるを俺によこす気もないくせに」
と、彼の資金のよりどころをいつまでたっても渡さないことにいらだちを覚える心境を、自分でも認めるようになっていた。
派閥は、領袖として、自分を選らばなかった。
それに対する恨みもあった。
それは、兼山の責任ではまったくなく、大川の人を寄せ付けないせいだった。
盆暮れの金を配らない大川の姿勢から、人心が離れていった。
側近と目された者は、なぜか最後は冷たく捨てられる。
結局、誰も信用しない。そいう大川の性格に、派閥全体が嫌気をさしたのだった。
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