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 「ははは。夫婦でそんなんでどうするんですか。一家の主は何があってもどーんと構えていなければいけませんよ」  兼山は返事をしなかった。二言三言、励ましの言葉を述べて、大川はそっと受話器を置いたのだった。  パール・ローヤルを行き過ぎて、また坂になる。それから大通にでて、車は左に向かった。やがて、赤坂に向かう。大川が赤坂近辺に行くのは、だいたいこのコースだ。議員会館から出る時に、いったん左の方向に行って、信号でUターンする。そこで、マスコミの人間が付けているのかどうかを注意するのだ。さらに反対方向に行って、またUターン。そして、議員会館手前の小道を左に入った。
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