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他の誰かと会う約束、ましてやデートであれば、何が何でも引き止めようと考えていた自分が恥ずかしい。
照実は少しホッとしたが、パスタ君という単語が出てきた瞬間、表情が曇った。
言うまでもない事だが、照実は霧涼に恋愛感情を抱いている。
それはかれこれ10年近く続いているのだが、照実自身が普段は唯我独尊を貫いているのに、肝心なところで決められない事や、そもそも恋敵が多い事が原因にある。
パスタ君と呼ばれたコンスタンティーノ=コペルティーニも、長い事霧涼に恋をしている一人だ。
彼は照実とも腐れ縁の仲なのだが、顔をあわせる度に喧嘩になるほど嫌煙していた。
コンスタンティーノは同室を良いことに霧涼との仲を縮め、あわよくば霧涼を自分の所属する風紀委員に入れようとしているので、照実は出来るだけ寮には帰そうとしたくないのだ。
「会長は同人誌を一般ピーポゥに見られる事がどれだけ恥ずかC事かご存知ないんです!そりゃあもう、嗚呼、穴があったら掘りたい!そんで人間を止めるぞぉお!ジョジョーー!ってくらいには恥ずかしい事なんです!」
「お前の例えはよくわからん。良いから仕事しろ」
尚も同人誌の話を続ける霧涼に、照実はびしりと言い切った。
押し切る事が出来なかった霧涼は、コンスタンティーノことおコンさんが霧涼のお宝を勝手に開封してしまわない事を願いながら会長の書類を受け取った。
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