Ⅰ

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     ――医務室――     悠路 「 はぁ……  めそめそ 」     レン 「 おかえりなさい…  見つからなかったんですね… 」     悠路 「 サチは自室に  かえしました  もう夜も  ふけてきたし  明日探すことに  したよ 」     レン 「 大切な鈴…  なんですね 」     悠路 「 ふふ  大切なのは  鈴じゃなくて  彼女だけどね    私たちは二人とも  身寄りがなくてね  小さな頃から  助け合って  生きてきた…    だから里へ  帰ってからの  結婚式  私ものすごく  楽しみに  しているんです 」     レン 「 (寂しそうに)  …………… 」     悠路 「 名前は加音(カオン)と  言うのだけどね    まぁ私が  言うのも  なんですが…    妖精(ニンフィ)の羽根の  ように私を  幸せにして  くれるんです(はあと)    もちろん  ものすごく  美人ですよ    これ写真です~  (でれでれ) 」     レン 「 そーですか 」     悠路 「 君は恋人は  いないんですか?  モテそうだけど 」     < レン、悠路の手をとる >     レン 「 どんなに  重なりあったとしても  指先ほどしか  心は触れ合えないから    僕はもう手を  伸ばさないって  決めたんです 」     悠路 「 レンくん… 」     レン 「 あっ今!  鈴の音  聞こえましたよねっ 」     悠路 「 え?ああ… 」     レン 「 少しだけ  外の空気  すってきて  いいですか 」     悠路 「 レン君!    ……ほんの少しでも  心を触れ合わせる  事ができたら    私はそれでいいと  思うんです    だから…もう一度  手を伸ばしてみても  いいんじゃないかな 」     レン 「 (にっこり)  そうですね 」     レン(M) 「 信じて     なんて  バカな人だ 」    
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