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支度が終わり、ばあやと二人でなれた足取りで城の長くて迷路みたいな通路をいくつも抜け壁一面に美しい満天の星空の絵が描かれた大広間にでた。 …この場所は、母が生前一番城の中で好きだったと聞かされている場所── だから父は不慮の事故で私が物心つく前に逝ってしまった母のためこの星一面の大広間に綺麗な墓を建てたのだろう。 母はこの国でも指折りの美女で名のある魔女だったらしい。 そんな母を妃に迎えようと、ある王がアプローチをかけたのだがことごとく振られ続けた。 …だが、あきらめなかった。 その気持ちがこうをそうしたのか母はその王と結婚した。 「遅いではないか、姫。また寝坊したのか」 それが私の父。 のびた髭を左の指の先でワサワサつまみながら私に微笑む父。 …みんなが私を一瞬見た。 すぐ視線を王に向けたがなんだか不気味だった。 「遅れてすいません、父上。」 私は申し訳なさそうに言うが反省はしてない…それをわかっているかのように父上は私に微笑んだ 「では、さっそくはじめようかの」
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