第二章

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船は海の風を切り裂きしなやかに進路を変えた。 「隼人はん、ええんか?当分闘えへんで?」「ああ、いいんだ。また新しい武器くらいは手に入る。それまではまた初心に帰って素手だ」 「そうでっか、そう言われれば隼人はんは固有魔法はお持ちで?」 「固有魔法ってなんだ?」 「えっと、説明難しいけどハニーが使ってたアレとかが固有魔法っちゅうねん」 「持ってない」 「興味が有ったら教えたるさかいに」そう言うとジンはそそくさと帰っていった。 船の甲板は清々しいものだ。そう言えば船の展望室でユイとソウキさんは何を話しているのだろうか? 俺の慣れ親しんだRPGゲームでは船と言えば、クラーケンなどの敵と闘って駆逐するのがセオリーだが、そんな好設定は現実には無いようだ。 風に吹かれひらひらと靡く背広を、軽く持つとまたユイの幸せそうに笑う顔を見た。破壊神などを倒さずに、幸せにしていられたらどれだけ幸せだろうか。そう考え吹き荒れる波の行く先を眺めた。潮が打ちつけ船の尖塔は水浴びをするように煌びやかにしていた。
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