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「実は私もお話しなければならない事が
有って、ずっと考えていて。
私、田舎(いなか)へ帰ろうかと、思って
おりましたの、貴方のお話を伺って決心
が付きましたわ!
丁度良かったのじゃありません、
私も居なくなる。
ここも処分なさって、もう足を掬(すく)
われる事も有りませんもの。
数年後、総理になった貴方を、私は福島
の田舎から応援していますわ」
穏やかな表情で話を切り出した彩乃に、男は暫(しばら)く言葉も無く魅入っていた。
「そうか、田舎へ
済まない、
もう何年になる?」
「お世話になって5年
好きにさせて頂いてましたもの。
貴方に拾って頂かなかったら 私」
「そうか5年か!
すると、お前も25になるのだな」
彩乃の言葉に出会った頃の事を、思い出し小さく笑うと、改めて自分が囲っていた女が、25才になっていた事に男は気付いた。
「では、それ相応の事はしてやらんとな」
「いえ、今、貴方が私に何かして下さる
と、きっと目に付きますわ!
特にマスコミに。
もう充分(じゅうぶん)
良くして頂きましたもの、
私物だけ頂いて東京を離れるつもり」
男の腕にそっと手を添(そ)えて、彩乃は微笑んだ。
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