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「しかし 、 、 、
このタイミングでとは、私にとっては良
かったと言うべき事ではあるが、
何故田舎へ?」
ふと彩乃が田舎へ帰ろうと、考えた訳が気になり、男は訊ねた。
「フフッ、さっきお会いになった娘カワ
イイでしょ!?
半年程前、ほらこの直ぐ下にある公園
で、お友達になったの。
それまで子供って苦手かなって、思って
いたのですけれど、実際お話したり一緒
に遊んでみると楽しくて。
今では良いお友達になれて、時々川沿い
の道を散歩したり、お買い物付にき合っ
て貰って、このお部屋にも週の内3日
は、遊びに来る様になっているの。
あの娘、母一人子一人で、鍵っ子って言
うのかしら、でもお母さん思いで良い
娘。
あの娘を見ていたら私も子供に、あんな
風に思われる母親に成りたいと、思う様
になっていたの、そうしたら!」
目を細めながら彩乃がそっと、自分の腹の辺りに手を置いて笑った。
「赤ちゃん、ううん、貴方に迷惑は掛け
るつもりは無いの、
だから、貴方に黙って田舎に帰って、
1人で産もうと決めていたの」
彩乃が優しい母の微笑みで、男に真実を告げる。
「それは、
私の?」
男は表情を引き攣(つ)らせながら、絡み付く言葉を吐きだした。
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