第6章 クリッパー 仙崎狂介

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    大地の次の言葉を押し止める様に、仙崎が口を開く。 「良いんだ、隠さなくても、 私もそうだから。 これ渡しておくよ、私が必要になったら 電話して来るといい、話し聴いて上げる から」 大地の肩を叩き小さく笑うと、道の先で仙崎を待つ集団へ向け歩いて行った。 「タツオ、どうしたよ!?なんだぁそい つは?」 大地が手にした名刺を覗き込んで、風間が妙な声を上げる。 それもその筈、渡された名刺には表にも裏にも、何の印刷もされていない、真っ白な物であったのだから。 『こいつは?』 仙崎に名刺を手渡された瞬間、そこから大地は仙崎の意図を読み取っていた。 白紙の名刺に刷り込まれた記憶が、1つの電話番号と名を大地に伝えていた。 『仙崎狂介、桁外れの能力者  敵か、それとも味方なのか』 風間が隣で「まっ、良いか」っと、笑いながら大地の肩を叩いて歩き出す。 「あぁ悪い、楽しみだ」 「お前も結構スケベだなぁ、クククッ」 大地の目論みも知らず、風間が卑(いや)しい口元を綻(ほころ)ばせ笑った。    
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