第6章 クリッパー 仙崎狂介

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       3、過去を切り取った男 「この辺りで見失っちまって、 すんません」 ハンドルを握る男が、路肩に車を寄せて行き車を止めると、申し訳なさそうに小さく頭を下げた。 「あぁ、気にすんな、後は俺の方で何と かする。 ご苦労」 大地は男へ上から目線で労をねぎらう。 「俺はここで下りるが、お前は戻った ら、キバッて作業しろよ」 「ハイ、頑張ります」 上気した顔で男が答える。 大地はドアを開け、思い出した様に男を振り返り、笑顔を向けその肩をポンっと叩いた。 瞬間、指先を男の首筋に当てる。 「じゃあな、2度と会うこたぁ無ぇが、 頑張れよ!」 男の耳に届かない台詞を、口ずさみ車を下りる。 ドアを閉めた音で男が我に返り、辺りをキョロキョロと見回して、戸惑っているのが目の隅に見えたが、構わず大地はその場を離れた。 町名を示す物を探して暫く歩き、自販機を見付けほくそ笑む。 住所が自販機にキチンと、表示されている事を大地は思い出し、自分が何処に居るのかを町名のみならず、番地まで知る事が出来た。 「成る程、武蔵野市吉祥寺北町××-××か、 後は明日にするかな、ミナが心配する」 辺りを見回しコンビニの明かりへ向かって、大地は足を踏み出す。 雑誌コーナーで駅までの道を、調べる為であった。    
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