240人が本棚に入れています
本棚に追加
「気付いたか、何者だお前!?
トラックに何の用があった!」
大地の目の前でしゃがみ込んだ男が問い掛ける。
男は30代始めといった歳頃で、キチンとスーツを身につけた、見るからにビジネスエリートと、言った感じの男である。
目だけで大地は辺りを覗う。
どうやらトラックの荷台の中だと分かった。
ご丁寧に照明設備も整っている。
「喋って貰えないかな、俺の後ろの奴は
気が短くて荒っぽい、あぁ、先刻承知し
てるか」
冷静な語り口、とても連続レイプ犯の1人には見えない。
知的ささえ感じられる男が、何でもない事の様に大地を脅して来る。
『冷血』
探し始めた当初大地は、犯人達は粗暴で頭の悪い男達を想像していた。
それだけに目の前の男の冷静さに、鳥肌が立つ思いを味わっていた。
「サツじゃ無ぇな、身元が分かる様な物
を、何一つ持っていなかった、あれか?
例のヤク・・・」
「喋るな!」
背後の男の言葉を強い口調で、大地の前にしゃがんだ男が遮る。
「この男の素性(すじょう)も、
分からない内に、
こっちの情報を与えるだけだ!」
男がリーダー格なのか、背後の男が押し黙った。
最初のコメントを投稿しよう!