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「なぁ、喋っちまえよ」
筋肉質の男が上体を起こした大地を見下ろし、声を掛けた。
「あぁ、もう勘弁だ、ちょっと待ってくれ」
ボロ布で鼻と口を押さえた、大地が応える。
「良いぜ!素直に話して貰えりゃあよ」
両膝を立てて床に座り込んだまま、男を見上げた大地が、口の中に溜まった血をボロ布に吐き出す。
目の前に佇(たたず)む2人の男達に、覚られぬ様、表情を大袈裟に歪め、大地は2つの事を同時に頭の中で考える、作業に取り掛かった。
1つは男達が信じそうな話を、作り上げる事。
そしてもう1つ、刷り込む嘘の記憶を、創り上げる事である。
「実は、飯田組の森さんと手分けして、
森さんはビデオを持ち込んだ男を、
俺は大型ルーフのトラックを、探すと言う事で、この街にやって来た」
「チッ、あいつ尾行(つけ)られてやがった
か!?」
大地の話に筋肉質の男が舌打ちする。
「どうして飯田組が我々を!?」
2人の背後でやり取りを黙って聴いていた、スーツ姿の男が話に割って入って来た。
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