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「俺達を警察に売るとでも言って脅し、
今後は飯田組の傘下に取り込む積もり
か!?」
スーツの男が前に出て来て、大地に問い掛ける。
「甘いなぁ。
ヤクザをそんな良い人達だと、
思ってるのかよ。
良いように使われてヤバクなったら、
人知れずこの世から消えて貰うだけさ。
勿論あんたらが逃亡したと、警察が思う
様に細工してな、そんなに掛から無い
ぜ、後1時間もすりゃあ組の者が、ここ
へ押しかけて来る、喰われるぜあんた
ら」
痛ましい者を見る様な表情を作り、大地は言葉を終わらせた。
男達は互いに顔を見合わせる。
「そこで大人しく待ってろ!」
筋肉質の男が大地に言葉を掛け、2人が荷台の入口へ向かう。
大地はその背を眺めながら、口元だけで小さく笑った。
『旨く乗って来い、その時お前達は破滅
を迎えるんだ!』
血で汚れた指先に視線を落とし、ミナの哀しい位明るい笑顔を、大地は思い出していた。
『皮肉な物だ、自分の記憶は切り取れないのだから』
忌まわしい記憶が渦巻く荷台の中で、大地は息苦しさと怒りを内に押さえ込んで、2人の男の出方を待った。
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