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「動けるか?ちょっと外へ出て貰いてぇ
んだ!」
筋肉質の男が1人で荷台の中に戻って来ると、大地に声を掛けた。
「クソッ、ちょっと1人じゃ
立ち上がれそうに無いな」
大袈裟に顔をしかめ大地は答える。
「チッ、しょうがねえな、ほらよ!」
舌打ちした男がゴツイ手を、大地に差し出す。
「悪い!」
差し出された手に大地が手を合わせ握った次の瞬間、男の身体が硬直したかの様に動きを止めた。
筋肉質の男を見上げニヤリと大地が笑う。
力強い腕が大地を引き上げ立たせる、立ち上がった途端大地の身体が、男の胸に向かってよろけた。
「酷い目に合わせちまった、スマン!
まさか!仲間が俺を消そうと考えてたな
んて、気付かなかったぜ!
どうすりゃいい 、 、 、 」
大地の耳元に顔を寄せた男が囁(ささや)く。
「あぁ、暗くて俺だって分からなかった
んだろ、しょうがねえよ。
奴の手前こうするしか、なかったって分
かってた、気にするな。
取り敢えず他の奴らが来る前に、
外の奴何とか出来るか?」
大地も潜めた声で男へ、素早く言葉を返した。
「あぁ、楽勝だ、ちょっと待っててくれ」
大地をその場に立たせ小さく笑うと、男は踵(きびす)を返し、荷台から外へ再び出て行った。
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