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「記憶中枢へ」
唱える。
一瞬に場面が変わり、大地の眼前に黄金の輝きを放つ核が、その姿を現す。
「こいつか、、、」
巨大な核の前から数歩後退り、助走を付けながら大地は跳んだ。
渾身の力を込め拳を、核の中心に叩き込む。
ピキピキっと音を発て、拳を中心に亀裂が核全体に走り、次の瞬間粉々になった核の破片が、空間へ飛び散った。
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[フウゥー]
深い息を吐き、大地は押し当てた指を、男のコメカミから離し胸元に戻すと、手の平に視線を落とした。
僅か十数秒の時が流れていた。
大地の指先は力を入れすぎ硬直している。
まるで本当に男の脳内に入って来た様な、疲労感を感じていた。
幾度か指を閉じたり開いたりし、緊張を解(ほぐ)して行く。
目の前の男へ視線を向ける。
男の瞳が大地を映し出していたが、何も見ていないのだと大地は感じた。
罪悪感は無い。
人間社会でこの行為を裁く法は無い事を、大地は知っていた。
『この行為に心が耐えうるならば、
標的は後4人』
と、大地は思った。
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