第6章 クリッパー 仙崎狂介

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    「記憶中枢へ」 唱える。 一瞬に場面が変わり、大地の眼前に黄金の輝きを放つ核が、その姿を現す。 「こいつか、、、」 巨大な核の前から数歩後退り、助走を付けながら大地は跳んだ。 渾身の力を込め拳を、核の中心に叩き込む。 ピキピキっと音を発て、拳を中心に亀裂が核全体に走り、次の瞬間粉々になった核の破片が、空間へ飛び散った。 ■ ■ ■ [フウゥー] 深い息を吐き、大地は押し当てた指を、男のコメカミから離し胸元に戻すと、手の平に視線を落とした。 僅か十数秒の時が流れていた。 大地の指先は力を入れすぎ硬直している。 まるで本当に男の脳内に入って来た様な、疲労感を感じていた。 幾度か指を閉じたり開いたりし、緊張を解(ほぐ)して行く。 目の前の男へ視線を向ける。 男の瞳が大地を映し出していたが、何も見ていないのだと大地は感じた。 罪悪感は無い。 人間社会でこの行為を裁く法は無い事を、大地は知っていた。 『この行為に心が耐えうるならば、  標的は後4人』  と、大地は思った。   
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