第6章 クリッパー 仙崎狂介

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        4、名を捨てた者達 マスターテープの在りかを、ヒゲ面の男の記憶から引きだし、3人の男達の記憶を破壊し終えた大地は、トラックの荷台から降り立った。 [パチパチパチ・・・] 「見事な手際でした」 闇の奥で突然湧いた拍手に、大地が身構える。 「お忘れですか、私の声を」 闇の中を砂利を踏む靴音が近付き、大地に声を掛けて来た。 やがて荷台から漏れる光の中に、近付いて来た男がその姿を曝(さら)す。 大地は目を見張った。 「あんたは、仙崎、狂介!?」 新宿のホテル街で偶然遭遇した、1人の自称能力者、仙崎狂介が大地に近付いて来ていた。 「素晴らしい、命を奪う事無く、人一人 をこの世から抹殺なさった。 是非とも私どもの元へ来て欲しいのだ が?」 冷たい眼差し、薄く笑った口元、心が読めぬ男が大地を賞賛している。 「あんた何が言いたい! 脅しなら無駄だぜ、俺は何もやっちゃい ねぇ」 言葉を返しながら、仙崎が大地の間合いに入るのを待つ。 『後1歩、奴の懐へ飛び込めれば、  俺の勝ちだ』 「私はここで足を止める、残念、後1歩 私が足を踏み出せば、君の間合いだっ た、勝てると考えた様だが」 いつの間にか微笑を消した仙崎の唇が、大地を凍り付かせる様な言葉を吐いた。   
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