第6章 クリッパー 仙崎狂介

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    「しかもお前は、既に後ろを取られている」 大地の背後から突然、からかう様な男の声が上がった。 「なっ!?、、、」 叫びそうな声を飲み込む。 荷台入口と大地は50cmと離れていない。 声はその荷台の縁(へり)辺りから聴こえて来た。 恐る恐る大地は背後へ頭を巡(めぐ)らす。 大地の視線が荷台の縁に腰掛け、脚を投げ出した男を捉(とら)えた。 「有り得ない、、、何だ、、、。 荷台には3人の男達以外いなかった、今俺が降り立った直後に、、、いや、仙崎に気を取られた隙に、、、」 ニヤリと笑った背後の男に対し右足を1歩踏み出す事で、男達を両側に置く立ち位置に、大地は身体の向きを変化させた。 「違います、彼もまた能力者、、、今は手の内は明かせませんが」 「まぁ、そう言うこった」 仙崎の言葉の直後、[ポン]と大地の肩を背後の荷台に居た筈の男が、笑いながら隣から叩く。 咄嗟に隣に佇む男から荷台へ目を向け、大地は直ぐさま男へ視線を戻した。 「クソッ、瞬間移動、か、、、そんな能力の遣い手が本当に居るとは、、、」 驚きの言葉を吐いた次の瞬間、大地は隣に佇む男の顔面に拳をブチ込んだ。    
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