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大地の拳が薄笑いの男の残像を
打ち抜き、空を切る。
「クソッ!」
言葉を吐き捨て、辺りへ視線を巡らす。
「無駄だってのに」
消えた筈の男が大地の右耳に、顔を近付け囁く。
男の腕は大地の肩を抱いていた。
「その様だ!
でっ、俺をどうしたいんだ?」
肩に回された男の腕を払い除け、大地は大きく息を吐くと、隣の男を無視して仙崎に向き直った。
「何も、私は今後の事は君次第だと思っ
ている、その為に名刺を差し上げた。
ただ、今夜ここへ来た目的は有ります。
5人の男を処分すると言う目的が」
1歩大地に近付き足を止めると、仙崎が表情の無い顔で告げる。
「何を言っている、こいつらは既に
、 、 、 」
「だが、このままでは困るのですよ。
5人もの男が一晩の内に、アルツハイマ
ーの様になっていた、なんて現象を残さ
れるのは!
私どもは闇に生きると決めた、者達なの
です、表社会から見て極力不自然に成ら
ぬ様、仕事をこなして来ました。
1人の能力者の行いで、表社会が混乱す
る事態を招く事は、避けたいのです。
お分かり頂けましたでしょうか」
大地の言葉を遮り仙崎が訳を話し出す。
それは大地が想像した物とは、掛け離れた物であった。
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