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「私だ、電話をする事など
無いと思っていたのだが・・・」
[お久しぶりです、先生。
20年になりますか、バブルの頃は先生
に儲けさせて頂き、今の私が有る様な
物ですから、あの頃が懐かしい。
ところでどうなされました、先生程の方
が今更私の様な者(もん)に、電話をお掛
けになるなんて!?]
「死体を、ひとつ、処分したい」
[20年ぶりのお電話が、
乗っけからそんな話とは、
脅かしっこ無しにしましょうや、
ねぇ先生!]
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「あ、兄貴、大丈夫スかね?」
「馬鹿、ちゃんと前見て運転しねぇか!
スピード出し過ぎんなよ、下手(へた)こ
いて止められた日にゃ、2人して塀の中
だ!
笑え無ぇ話しに成っちまう」
「はぁ、う、うわぁー!!」
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大パノラマを眺める薄暗い観覧席で、男はマグロの回遊が作り出す、銀色の光の河に目的を忘れた様に、魅入っていた。
「お待たせしました、仙崎狂介です」
男が座る席の傍(かたわ)らに、音も無く近付き、名を告げる若い男に、一瞬身体を硬直させた男は、声の主を見上げた。
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